当研究室には二つの主要テーマがあります.
- 不定形物(布・紙・紐など)の知識表現・認識・操作
- 観察や試行錯誤に基づくロボットの作業能力の獲得
1. のテーマについて説明します.不定形物に関わる作業は,生活環境・工場環境・物流現場など様々な環境で見受けられますが,それを自動機械におこなわせることは容易ではありません.当研究室では,不定形物の知識表現の方法,認識手法,操作方法などについて研究し,体系化することを目指しています.以下のような研究成果 があります.
- 布製品の発見と種別
- 操作中の布製品の状態認識
- 形状変化の予測に基づく布の操作手順生成
2. は,ロボットシステムの現場導入を効率化するための研究テーマです.模倣学習や強化学習を用いたアプローチを採っています.模倣学習では,人間の動作を観察することで技能を抽出します.強化学習では,ロボット自身の試行錯誤により技能を獲得します.両者を組み合わせた実用的アプローチも研究しています.
| その他研究課題
このほかにも,以下のような研究課題を対象としています.
- 自律型ロボットのための物体認識・環境認識
- 多関節・多自由度ロボットの動作計画
- フィールドロボティクスにおける視覚情報処理
- 製造工程での物体操作に適したエンドエフェクタ製作
- 作業をおこなう自律型ロボットのための知能システム
1.は,複雑な環境に居るロボットが周囲環境や操作対象のことを「知る」ための研究テーマです.環境マップの構築,操作対象の発見,操作対象の状態認識,人の動作の認識などの研究課題があり、以下のような研究を行っています.
- 小型物体の三次元形状モデルの自動生成
- 引き出しなどの構造物の認識とモデル化
- 人の道具操作における物体追跡と重畳関係の推定
- 動的環境下での効率的な環境マップ表現
- 家電組み込み部品のカテゴリ識別
2.は,様々な環境に存在しうるロボットがより賢く「動く」ための研究テーマです.車輪型ロボット,腕型ロボット,それらを結合したロボットなど様々な形態がありえますが,この課題に対して、これまでに以下のような研究を行っています。
- 自動生成した物体モデルを入力とする把持計画
- 移動の誤差を考慮した物体の把持姿勢計画
- 仮想アームを用いた障害物回避手法
3.は, 人手不足が懸念されている屋外作業の自動化に寄与するための研究テーマです.例えば災害対応やインフラ点検があります.当研究室では,捜索作業や点検作業,農作物の収穫作業を補助する認識機能の研究を進めてきています.また,公共建築物の構内や市街地等で移動する機能の研究経験もあります.
- 捜索・状況確認活動を支援する画像認識システム(プレスリリース)
- 橋梁点検ロボットのためのひび割れ・剥離検出機能(プラットフォームの紹介記事)
- 結球型野菜自動収穫機のための収穫物検出
- 歩行者の発見と追跡の研究 (東京大学JSKのページ, Robot Watchの記事)
- 自律走行ロボットのための環境マップ構築・自己位置推定・走行可能経路の検出
4.のテーマでは,製品製造を自動化する文脈において,一般的な考え方に捉われない新たなロボットハンドやセンサについて検討しています.これまでに以下のような研究を行っています.
- 布地巻取りのためのエンドエフェクタ
- ケーブル配線のためのエンドエフェクタ
5.は,多様な作業を担うロボットのためのシステム構築に関する研究テーマです.物体操作を伴う作業を主な対象として,それをおこなうロボットに必要な要素の設計とそれらの統合方法を研究しています.さらに,作業の失敗を検知し,そこから復帰するための仕組みも研究しています.
- 物体の把持・運搬・収納を行う移動マニピュレータ
- 家事支援ロボットのシステム統合 (東京大学JSKのページ,Robot Watchの記事)
- 文字情報を利用して作業をおこなうロボット